2018年10月7日日曜日

MuseScoreの記譜フォントの善し悪し

 MuseScoreで使える記譜フォントは、Emmentaler,Gonville,Bravuraの三種類があります。その三つのうち、Bravuraが最も実用的で優れています。記譜フォントは個人の趣味で選択しても良いのですが、Bravuraが一番多くの記号を収録しているので、特に拘りがないのであれば、Bravuraをお勧めします。


 オッターヴァ付きのへ音記号を比較すると、EmmentalerとGonvilleは不適切なデザインとなっています。右図のへ音記号に付いている“8”の位置に注目すると、Emmentalerはへ音から離れすぎているし、Gonvilleは位置が五線と中途半端に被っています。このへ音記号を使用する場合は、Bravura以外に選択肢はありません。
 またへ音記号自体のデザインも、へ音記号の玉の部分に注目すると、Gonvilleは五線のF線から玉の中心が逸れてしまっています。ヘ音記号自体は右側の2つの点の位置で、五線の高さが決まりますが、玉の部分の位置がF線から逸れているのは、良いとは思いません。

 Gonvilleは拍子記号にバグがあります。(3+2)/4といった、+が使われる拍子記号の場合、唯一Gonvilleだけは正常に表示されません。従ってそのような拍子記号が用いられる楽譜でGonvilleを使うことは極めて困難です。



 またGonvilleのオッターヴァの数字は、明らかに小さすぎ視認性に欠きます。私はGonvilleのオッターヴァを別のフォントに置き換えて使用していますが、手間が増えるだけなので、あまりお勧めできません。

 8vaのような表記の場合においてもGonvilleは不具合があります。左図下のようにオッターヴァの点線の開始位置がかなり後ろに設置されてしまいます。
 このような理由によりGonvilleを使いこなすのは、たやすいことではありません。



 楽譜によって記譜フォントを浄書ソフト側の都合で、ころころ変えてしまうのは、あまり良くはないので、あらゆる楽譜に対応できるBravuraを使うことを勧めます。


2018/10/18追記

 Bravuraの使用をお勧めしましたが、MuseScore 2.3.2現在、どうやらBravuraにもバグがあることがわかりました。
 Bravuraを使った時、リピート記号の点が、PDFとSVGファイルへ出力した場合に、位置がズレてしまいます。
 これを対処するには、リピートの点をマスターパレットやテキストで偽造する他ありません。これは面倒なので、記譜フォントに拘りがないのであれば、リピート記号のある譜面は別の記譜フォントを使用した方が良いでしょう。
2018/12/11追記
 上記のバグですが、どうやらパソコンによってバグが発生するかどうかが異なるようです。私は2台PCを持っていますが、片方のPCではバグが起こりませんでした。両方ともWin10でMuseScoreのver.は同じです。
 またバグが起こるPCでMuseScoreのver.を下げてみても、バグは改善されませんでした。

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