今回は、MuseScoreの音符間隔の仕様を解説しながら、音符間隔の調整方法を全て伝授したいと思います。
―目次―
第一回 「MuseScoreの音符間隔の仕様」第二回 「音符間隔の調整方法」
第三回 「音符間隔を無調整で揃える新手法」
第四回 「一段一小節法とMuseScore3」
第一回 「MuseScoreの音符間隔の仕様」
音符のスペーシングのあり方
さて、MuseScoreの音符間隔の仕様を解説する前に、私の考える、あるべき音符のスペーシングの原則的なあり方について、共有しておく必要があります。
・小節幅は均等にしない
段の各小節の中身が同じでない限りは、基本的には小節幅は均等にはしません。細かい音符の多い小節は幅が広く、全音符の小節は幅が狭くなります。
さて、細かい音符で小節幅が広くなるということは、音符の間隔は音符の長さとは比例していないということを示します。つまり二倍の長さの音符は、二倍の間隔を持つのではなく、だいたい1.5倍前後程度の間隔になります。小節を構成する音符の数と種類に応じて、小節幅が結果として伸縮するのです。
小節幅が異なっていても、同じ長さの音符の間隔は等しく保たれることに注意してください。小節幅は無闇に伸縮されるのではなく、音符間隔の比率によって小節幅が自ずと定まるのです。つまり、小節幅が音符の密度によって伸縮しても、段の中において同じ長さの音符の間隔が揃っていることが、浄書ソフトが実装すべき音符のスペーシングのあり方です。
・スペーシング比率
MuseScoreの音符間隔
MuseScoreの音符間隔は、「素の音符間隔」と、臨時記号や加線、音部記号などの「加算されたスペース」によって小節毎に決定されます。またそれぞれの小節が独自に伸縮します。
・素の音符間隔

・小節の中の音符間隔

・変化するスペーシング比率
MuseScoreの「素の音符間隔」における、異なる音価の音符間隔の比率は一定ではありません。小節を構成する音価要素の種類によって、その比率は変動します。特に、画像の二分音符/四分音符は2,3,4小節にありますが、その比率は小節毎に異なっていることが分かります。このように異なる小節で同じ2種類の音符間隔の比率が一定ではない仕様では、小節幅を伸縮させても音符間隔を揃えることは不可能です。
※画像で示したスペーシング比率は、音符間隔の比率を定める指標の一つに過ぎません。この計算方法によるスペーシング比率が一定であることが、音符間隔を揃えるのに有効だとしても、必ずしも満たす必要はありません。小節内でスペーシング比率が変動しても、小節外で同じ割合で変動するならば、音符間隔は一定になるでしょう。しかしMuseScoreの場合は画像の2,3,4小節の二分音符/四分音符の関係のように、その変動の割合は一定ではありません。このために、MuseScoreは小節外では、異なる音符の間隔の関係性が一定には保たれないことわかります。

・伸縮する小節

各小節が小節内の諸要素によってそれぞれ伸縮するMuseScoreの仕様では、水平方向のスペーシングが音価基準で決められるとは言い難く、小節毎にスペーシングが決定されると言えます。
まとめ
MuseScoreは小節内では、同種の音価による間隔は揃っていますが、小節外では揃わない仕様と言えます。小節が小節外の音符を考慮せずに自動で独自に伸縮する仕様によって、デフォルトでは音符間隔は揃いません。また、スペーシング比率が小節を構成する音価要素の種類によって変動する仕様によって、小節の内と外では音符間隔の比率が同一ではないので、小節幅を手動で伸縮させるだけでは音符間隔が揃わないという問題があります。
第二回では、MuseScoreが水平方向のスペーシングを調整するのにどんな機能を用意しているか、解説したいと思います。
第一回 → 第二回
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