2018年10月24日水曜日

カスタムパレット

 MuseScoreにはデフォルトでは、基本パレットとアドバンスパレットがありますが、自分でオリジナルのパレットを作ることが出来ます。


 パレットの右下にある「+」をクリックすると、新たなパレットを作成することが出来ます。

 マスターパレットにある記号を、自分で作成したパレットに入れることが出来ます。マスターパレットはメニューの「表示(V)」のところにあります。マスターパレットには、アドバンスパレットには入っていないような、MuseScoreの全記号が収録されています。



 マスターパレットの記号を、自分で作成したパレット上にドラッグ&ドロップすると、パレットに記号を追加することが出来ます。



 記号が追加されない場合は、一度MuseScoreを再起動してみてください。それでも記号を追加できない場合は、パレットの編集したい項目上を右クリックして、左図のように「編集可能」のチェックボックスをオンにしてください。



 パレットに新しい項目を増やすことができます。左図のように、項目を増やしたいところを右クリックして、「新しいパレットの挿入…」をクリックすると、新しい項目を作ることができます。


 マスターパレットでは、デフォルトで用意されていない拍子記号を新たに作成することができます。
 例えば(2+3)/4という拍子記号を作る時は、右図のように5/4を選択して、値を5/4、テキストを「2+3」/「4」にかえます。音符グループもここで2:3に分けておきます。右下の追加ボタンを押すと、右図矢印の先のように、ここで作った新しい拍子記号が追加されます。




 音符グループは左図のように編集します。赤枠で囲った記号を、矢印先の音符にドラッグ&ドロップすることで、連桁の繋ぎ方を変えることが出来ます。





 MuseScore 2.3.2現在、(2+3)/4といった、符号の付いた拍子記号は、記譜フォントのGonvilleを使用した時に正常に、符号が正常に表示出来ないので、そういった拍子記号を使う時は、Gonville以外の記譜フォントを使用することをお勧めします。

 マスターパレットで作った拍子記号は、マスターパレットの他の記号と同様に、自分で作ったパレットに追加することが出来ます。

2018年10月18日木曜日

MuseScoreでの歌詞のコピペ

 合唱譜面をMuseScoreで作るときに、歌詞の入力を面倒に感じる人がいると思います。実は1.3と比べれば2.3.2のMuseScoreは歌詞の入力が大分楽になっていますが、それでもある程度は手間が掛かります。

 (いつ実装されたのかは知りませんが)2.3.2時点のMuseScoreは、既に入力した歌詞を別のパートへコピペすることが可能です。



 左図のように歌詞を選択してコピーを行います。




 貼り付けたいところの音符を選択して貼り付けると、コピーした歌詞を貼り付けることが出来ます。


 右図のように、ソプラノだけ歌詞を入力してから、ソプラノの歌詞をコピーして他のパートに貼り付けることで、歌詞入力の時間を短縮することができます。




 





 MuseScoreは細かく範囲選択できるので、特定のパートの歌詞を一段分だけ選択できます。コピーしたい歌詞を右クリックして「選択」の「詳細…」をクリックすると、選択画面を開くことが出来ます。そこで、「同一の譜表」と「同一の段」にチェックを入れると、一つの段の一つのパートだけ、歌詞をまとめて選択することが出来ます。



 このように、選択した歌詞を他のパートに貼り付けることが出来ます。



 但し、貼り付け先のリズムが、コピー元と異なる場合は、歌詞がズレてしまいます。そういったところでは修正が必要です。

2018年10月7日日曜日

MuseScoreの記譜フォントの善し悪し

 MuseScoreで使える記譜フォントは、Emmentaler,Gonville,Bravuraの三種類があります。その三つのうち、Bravuraが最も実用的で優れています。記譜フォントは個人の趣味で選択しても良いのですが、Bravuraが一番多くの記号を収録しているので、特に拘りがないのであれば、Bravuraをお勧めします。


 オッターヴァ付きのへ音記号を比較すると、EmmentalerとGonvilleは不適切なデザインとなっています。右図のへ音記号に付いている“8”の位置に注目すると、Emmentalerはへ音から離れすぎているし、Gonvilleは位置が五線と中途半端に被っています。このへ音記号を使用する場合は、Bravura以外に選択肢はありません。
 またへ音記号自体のデザインも、へ音記号の玉の部分に注目すると、Gonvilleは五線のF線から玉の中心が逸れてしまっています。ヘ音記号自体は右側の2つの点の位置で、五線の高さが決まりますが、玉の部分の位置がF線から逸れているのは、良いとは思いません。

 Gonvilleは拍子記号にバグがあります。(3+2)/4といった、+が使われる拍子記号の場合、唯一Gonvilleだけは正常に表示されません。従ってそのような拍子記号が用いられる楽譜でGonvilleを使うことは極めて困難です。



 またGonvilleのオッターヴァの数字は、明らかに小さすぎ視認性に欠きます。私はGonvilleのオッターヴァを別のフォントに置き換えて使用していますが、手間が増えるだけなので、あまりお勧めできません。

 8vaのような表記の場合においてもGonvilleは不具合があります。左図下のようにオッターヴァの点線の開始位置がかなり後ろに設置されてしまいます。
 このような理由によりGonvilleを使いこなすのは、たやすいことではありません。



 楽譜によって記譜フォントを浄書ソフト側の都合で、ころころ変えてしまうのは、あまり良くはないので、あらゆる楽譜に対応できるBravuraを使うことを勧めます。


2018/10/18追記

 Bravuraの使用をお勧めしましたが、MuseScore 2.3.2現在、どうやらBravuraにもバグがあることがわかりました。
 Bravuraを使った時、リピート記号の点が、PDFとSVGファイルへ出力した場合に、位置がズレてしまいます。
 これを対処するには、リピートの点をマスターパレットやテキストで偽造する他ありません。これは面倒なので、記譜フォントに拘りがないのであれば、リピート記号のある譜面は別の記譜フォントを使用した方が良いでしょう。
2018/12/11追記
 上記のバグですが、どうやらパソコンによってバグが発生するかどうかが異なるようです。私は2台PCを持っていますが、片方のPCではバグが起こりませんでした。両方ともWin10でMuseScoreのver.は同じです。
 またバグが起こるPCでMuseScoreのver.を下げてみても、バグは改善されませんでした。

2018年10月2日火曜日

一段に多くの小節を入れる方法

 MuseScoreで一段に入れる小節数を増やしたいと思っている人は多いと思います。“Shift + [ or ]” で小節幅を縮めることで、ある程度小節数を入れることが出来ますが、それ以上に小節数を入れたい時もあるでしょう。実はMuseScoreは隣同士の音符がくっついてしまう程度以上に、多くの小節を入れることが可能です。

 例えば、MuseScoreで下のように、4/4の16分音符で満たされた小節は、どんなに小節幅を狭めても、一段に2小節しか入らないように思えます。
 しかし、音符を選択した時に、画面の右端にあるインスペクタにある、「割振り」の数値をマイナスにすると、さらに小節幅を狭めることが可能です。特に「後の間隔」は小節幅の伸縮に大きく関わっています。
 流石に必要以上に小節数を入れられるので、必ず段末にパレットの「区切りとスペーサー」の「譜表の折り返し」を入れましょう。譜割を考えることは浄書の第一歩でもあるので、特に一段に多くの小節を入れたくなくても、全ての段末に「譜表の折り返し」を挿入することを、強く推奨します。
 さて、「割振り」で前の間隔・後の間隔をマイナス値にしていると、臨時記号や加線、音部記号があるところ等に必要なスペースも削れてしまいます。そういったところの音符の、割振りの数値は元に戻しましょう。
 最後に、“Shift + [ or ]” で小節毎の音符の間隔を揃えれば、出版譜程度のスペーシング品質に、より近くなります。

2018年10月1日月曜日

MuseScoreとPDFリーダー

 さてMuseScoreでPDF出力して、そのPDFを印刷すると、パソコンの環境によって文字化けが発生することがあります。
 私の環境では、Adobe,Foxit,EdgeのフリーのPDFリーダーのうち、Foxit ReaderとEdgeから印刷した場合、文字化けが発生します。AdobeのAcrobat Reader DCでは正常に印刷できます。
 自分で印刷する分には、Adobeのリーダーを使えばいいのですが、PDFリーダーによって印刷結果が変わってしまうのは、PDFを他の人に配布する時には厄介な問題です。たいていのPDFリーダーには、PDFを文書ではなく画像として印刷することができ、文字化けを防ぐことが可能ですが、印刷の品質は下がります。
 実は印刷の品質を下げずに文字化けが起こりにくいPDFの作り方があります。

MuseScoreの文字化けを回避したPDF作成法
 MuseScoreは楽譜をSVG形式に出力することが出来ます。SVGファイルはベクター画像と言われるタイプの画像ファイルです。一般的な画像ファイルであるビットマップとは異なり、図形をピクセルではなく数式で処理されるので、斜線をどんなに拡大してもギザギザになりません。
 文字化けを回避するには、SVGに出力したファイルをPDFに変換します。さてSVGファイルを開くには、フリーソフトではInkscapeがあります。InkscapeでSVGファイルを開き、PDFとして再保存することで、文字化けを防ぐことが可能です。



左:MuseScoreで出力したPDFをFoxit Readerで印刷した結果
右:MuseScoreで出力したSVGをInkscapeでPDFに変換してFoxit Readerで印刷した結果

Inkscapeはこちら https://inkscape.org/ja/

 さてMuseScoreでSVG出力すると、一ページずつSVGファイルが作成されます。それを一枚一枚PDFに出力したとして、それを一つのPDFにまとめるには、pdf_asというフリーソフトがお勧めです。pdf_asを使って複数のPDFファイルを一つのファイルに結合することができます。

浄書雑感6 音友『佐藤慶次郎 ピアノのためのカリグラフィー』

 本記事は、 楽譜組版 Advent Calendar 2023 の22日目の記事です。  音楽之友社から「現代日本の音楽」という楽譜シリーズが出版されています。この楽譜シリーズは日本の現代音楽の楽曲を取り扱っており、"なんかスゴイ"楽譜が沢山あります。そう...