MuseScoreは伝統的に音符のスペーシングに弱いソフトウェアです。今回はMuseScoreのスペーシングに関する欠陥をまとめていきたいと思います。
1, 小節内の音価要素の種類や数によって、小節毎にスペーシングが処理される。
MuseScoreは小節の中の音符や休符が多ければ小節を広く、少なければ狭くするようになっています。この仕様のおかげで、小節が変われば同じ音価の音符であってもその間隔が違うことがよくあります。しかし私は、同じ段であれば同じ音価の音符休符の間隔は等しくあるべきだと考えています。MuseScoreは根本的にスペーシングの考え方が良くないです。
2, スペーシング比率が小節内の音価要素の種類で変わる。
スペーシング比率とは、各種類の音符の間隔の比率です。...16分音符,8分音符,4分音符,2分音符...の相対的な間隔の比率です。簡単に言えば4分音符を8分音符のn倍のスペースを設ける時のnの部分ですね。MuseScoreではこの比率が小節内の構成する音符の種類の違いによって、小節毎に変わってしまうようです。図は8分音符を規準に小節幅を整えることで揃えたのですが、16分音符と4分音符の間隔が小節毎に異なっていることがわかります。私は原則一つの段の中で同じ音価の音符の間隔はそれぞれ揃えるべきと考えています。従って、スペーシング比率が小節によってコロコロ変わってしまうのは凄く困ります。これの矯正は結構大変なんですよ。
3, 段始まりの小節が狭くなる。
MuseScoreは無調整の状態では、段始めの小節が他の小節よりも狭くなることが多いです。MuseScore3βではやや改善されていますが、段始めに拍子記号がある場合若干段始めの小節が狭くなるようです。(MuseScore2は拍子記号の有無に関わらず段始めの小節が狭くなりがちです。)
4, 同拍に異なる連符が交わる時のスペーシングの仕様
MuseScoreでは同拍に異なる連符が交わる時に、本来短い方の音符は他の音符からスペーシングの干渉を受けるべきでは無いのに関わらず、左の赤枠のように一部の幅が広くなってしまいます。左の赤枠では、三連符が一番小さい音価の音符なのに、八分音符がその下にあることで、広がってしまっています。ここは本来は、青枠のようにスペーシングされるべきです。この場合三連符が一番短い音価ですので、他のより長い音価の音符に影響されるべきではないのです。
MuseScoreにはローカルレイアウトという機能がありますが、あれは存在しても使い所が無いという意味でゴミと同然の機能なので、あれを使って均等に見える人は眼科にでも行った方がいいです。
5, トレモロのスペーシングの仕様
MuseScoreでは2音間のトレモロは1/2音価の音符としてスペーシングされます。二分音符のトレモロであれば四分音符2つとしてスペーシングされます。しかし2音間のトレモロの後端の音符は、それを弾くタイミングが楽譜と一致するわけではありません。便宜上トレモロを1/2に分割して始点と終点を記していますが、その終点の記譜上の位置はあまり意味が無いのです。従ってトレモロの終点である2音目のスペーシングは、他の音符を優先すべきです。
譜例のように、トレモロが小節の最小音価ではなく、トレモロの終点の音符が他の音符の間に配置される場合、MuseScoreでは2音間のトレモロの2音が実際の音符であるようにスペーシングされます。すなわち上の譜例の一小節目は、付点二分音符のトレモロは、付点四分音符2つとしてスペーシングされ、さらに下段に四分音符があることによって、2拍目は八分音符2つ分のスペーシングになっています。しかし、トレモロの終端は2.5拍目に弾くことを示さないため、2拍目を八分音符2つ分のスペーシングにする必要はありません(二小節目のトレモロでない場合は2拍目を八分音符2つ分のスペーシングにするのが正しい)。ここは、3小節目のようにトレモロ後端の音符のスペーシングよりも、下段の四分音符のスペーシングを優先すべきです。但し、4拍目のトレモロは4拍目においてそれが最小音価であるので、トレモロの始点終点の2音のスペーシングを適用させるべきです。従って4小節目のような挙動のスペーシングになるべきです。
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