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2024年11月17日日曜日

MuseScoreで合唱譜を作成する手順

 合唱譜面には、他の譜面と異なる記譜・浄書の作法がいくつかあります。MuseScoreを使って合唱譜を作成する時には、デフォルトの設定ではそうした違いが反映されないため、不自然な版面になってしまいます。したがって合唱譜を作る場合には、まず合唱譜に適した設定をあらかじめ適用する必要があります。

 今回は合唱譜面を書き始める上でのチュートリアルを書きますが、それ以前にMuseScoreの操作方法を学ぶには、とにかく公式のハンドブックはまず参照してください。全ての機能の解説がついています。


楽器編成・括弧

 新しいスコアウィザードで、MuseScoreのテンプレートに編成がある場合は、テンプレートを選択します。

 新しいスコアウィザードで、「テンプレートから作成」に作りたい編成のテンプレートが無ければ、「楽器を選択」で編成を作成します。


 新しいスコアウィザードを完了した後に、楽器編成を変更したい場合は、MuseScore 4 の場合、パレットの隣の楽器タブからいつでも楽器の追加・変更を行えます。MuseScore 2, 3 の場合は、メニュータブの「編集」→「楽器」から楽器編成を変えることができます。


 楽器編成を設定した後、必要に応じて括弧の範囲を変えましょう。括弧は同じ仲間のパートを括るのが一般的です。合唱譜面の場合は、大抵は合唱部分で一つの大括弧で括り、ピアノには中括弧を用いればよいでしょう。下の譜例では合唱部分が多いため女声・男声で括弧を分けていますが、SATBやTTBBなどであれば、1つの大括弧で全て括るのが一般的です。

パート名

 パート表記は最初の段は必ず表記し、二段目以降は定番の編成であれば省略するのが一般的です。変則的な編成であれば、二段目以降も省略形でパート名を表記します。

 MuseScoreでは「譜表/パートのプロパティ」を開くことで、パート名の編集ができます。定番編成であれば、全てのパートで、短い楽器名は消しておきましょう。

譜表の大きさ

 MuseScoreはデフォルトでは合唱譜面に使用するには五線が大きすぎるため、合唱譜の形式で楽譜を作るのが難しくなっています。五線幅は合唱譜では5~6mm程度が適正です。

 MuseScoreで五線幅を設定するには、「ページ設定」から変更を行います。MuseScore 3, 4 ではメニュータブの「フォーマット」の中に「ページ設定」があります。MuseScore 2 では「レイアウト」の中にあります。合唱譜の五線幅は5~6mmが適正なので、譜線間隔は1.25~1.5mmが適正です。

強弱の位置

 MuseScore 4 だと適正に配置されるので読み飛ばして結構です。

 楽器の楽譜では、強弱記号は五線の下に置かれます。しかし声のパートでは五線の下に歌詞が書かれるため、五線の上に強弱記号が置かれます。MuseScore 2, 3 のデフォルトの設定では当然五線の下に強弱記号が置かれてしまうため、合唱譜面では設定を変えて五線の上に強弱記号を置くようにします。

 MuseScore 3 の場合は、「スタイルの変更」の「強弱記号」と「クレッシェンド/デクレッシェンド」の配置を上に変更すれば、強弱を一括で上に配置することが可能です。MuseScore 2 の場合は「テキストスタイルの編集」で「強弱記号」等の垂直位置を適正なマイナス値に設定すれば、五線の上に配置できます。

フォントの指定

 一般的なクラシックの出版譜では、アルファベットにはセリフ体、日本語には明朝体が使われます。しかしながらMuseScoreはデフォルトではセリフ体こそ指定されますが、日本語を打つとゴシック体で入力されてしまいます。MuseScoreは「テキストスタイル」でフォントを変えることができます。歌詞は奇数行・偶数行で設定を変えることができるので、歌詞にルビ振ったり、ローマ字振りたい時に活用すると良いですよ。

区切りとスペーサー

 一段あたりの小節数を調整するには、区切り記号を挿入します。MuseScore 4 ではパレットの「レイアウト」、MuseScore 2, 3 では「区切りとスペーサー」に区切り記号があります。段を変えたいところや、ページを変えたいところに、「段区切り」や「ページ区切り」を挿入します。曲のフレーズの終わりや、休符のあるところでページを区切ってあげると、譜めくりやしやすくなるでしょう。

 パート間の間隔を変えるには、スペーサーを挿入します。MuseScore 3, 4 では「譜表スペーサー固定(譜表下固定スペーサー)」を挿入すれば、その間の間隔を自在に伸縮させることができます。

イマジナリーバーライン

 拍を数えやすい記譜をするための考え方として「イマジナリーバーライン」というものがあります。音符では、16分音符が含まれる拍は4分音符毎に区切ります。八分音符では二分音符毎に区切ります。そうすることで、奏者は拍を見失わずに楽譜を読むことができます。これは一種の記譜マナーですが、厳密に守られるべきものではなく、音楽ジャンルや作曲者の意向等で細かい違いがあったり、部分的に無視されることもあります。概ねこのように書けば読みやすいのは覚えておきましょう。


コーラス音源を変える

 コーラスパートのデフォルト音源は、バックコーラス向けの味付けであり、コーラスがメインである合唱用の練習音源には向きません。MuseScoreの場合、オーボエが音の立ち上がりが悪くなく、かつロングトーンも均質に再生され、ハーモニーの確認にも向く音質なので、合唱パートの音源としてオススメです。

 MuseScoreのそれぞれのパートの音源を変更するには、メニュータブの「表示」から「ミキサー」を開きます。MuseScore 4 の場合は「サウンド」から好みの音源を選んでください。MuseScore 2, 3 は「音色」をオーボエに変更すればよいでしょう。


MuseScoreで合唱譜を作成する手順

 合唱譜面には、他の譜面と異なる記譜・浄書の作法がいくつかあります。MuseScoreを使って合唱譜を作成する時には、デフォルトの設定ではそうした違いが反映されないため、不自然な版面になってしまいます。したがって合唱譜を作る場合には、まず合唱譜に適した設定をあらかじめ適用する必要...