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最小のスペースに記号を効果的に配置してある。スペーシングの妙技。 |
接触を許容すること

もちろん支障なく記号の接触を回避できるところでは、この楽譜は下2つの譜例の"lento"や"(quasi arpa)","(simile)"のように抜かりなく回避しています。
音符間隔の限界点を攻める


特殊な形のスラー



今回の楽譜では、右図のようにベジェ曲線では描くことの出来ない特殊な形状のスラーがいくつか登場します。どうやらこの楽譜を作成するのに使われた「TOPPAN New Scan-note」 (*) では普通のスラーとかまぼこ型のスラーの2種類の形状が用意されているらしいです。それに加え画像描画ソフトAdobe Illustratorも駆使し描かれているようです。
*星出尚志氏のホームページのWeb楽譜批評「スキャンノートの実力」を参照

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*小節の5~6拍目を左右で異なる音符間隔にしているが、考え方の違いなので左右どちらも可。 いずれにしても4~5拍目の八分音符の間隔は1~2,2~3拍目の八分音符の間隔と同じになるべきだろう。 |
さて『フランク集』の浄書を手掛けた、神野浄書技研の同じ時期の浄書で、現在も入手可能なのは、春秋社の『園田高弘校訂版 ベートヴェン・ピアノ・ソナタ』シリーズの一部の作品があります。『フランク集』程複雑ではないにしても、十分に神野浄書技研特有の技巧が散りばめられた浄書となっています。少なくとも同時代の他のコンピュータ浄書とは比べるまでもなく秀でています。是非とも浄書に興味関心があるならば、一度手に取ってみるべきだと思います。