https://musescore.org/ja/node/280565
MuseScore3はMuseScore2を礎にしていろいろな機能を盛り込んだソフトとなっています。新たな機能によって使い勝手が変わる部分もあります。ここではMuseScore3で新しく追加された機能をいくつか紹介したいと思います。
Automatic Placement(自動配置)
記号と記号の接触を避けるために、自動的に譜表の間隔や音符の間隔を広げたり、記号を譜表のより外側に自動的に配置する機能です。諸記号のインスペクタの一項目にAutomatic Placement(自動配置)があり、デフォルトで全ての記号でこれが有効になっています。
一見浄書の手間を減らしてくれる便利な機能のように思えますが、私は楽譜の中の全ての要素を100%意図的に配置したいので、自動的に記号が配置されたり、譜表の間隔が広げられるのは、非常に困ります。
Stacking Order(重ね順)
これは楽譜上で諸記号の配置の「重ね順」を指定することが出来る機能です。これもインスペクタに項目があります。この値を大きくすればより手前に、小さくすればより奥に重ね順を決めることができます。この機能を実際に使う人はあまりいないかもしれませんが、かなり便利な機能です。例えば、拍子記号を跨ぐタイを途中で切ったりする譜面がこれでMuseScore2より簡単に書くことができます。白い■を譜面上に入れ、重ね順の値を、拍子記号>五線>白い■>タイ、にすれば、画像のようにすることが出来ます。(MuseScore2でもテキストの種類の違いでStacking Orderの既定値が異なるので、だいたいのことは出来ます。)
ただし、現時点で音符の符幹はStacking Orderの値を変えても保存することができません。また符幹は自動配置をオフにしても譜面上に反映されません。
Staff type change(譜表の途中変更)
これは楽譜の途中で譜表のタイプを変更することが出来る機能です。これによって、例えば譜線の数を途中で5線から1線に変えることとかが出来ます。これはパレットの「テキスト」のところにあります。
Staff spacer fixed down
新しいスペーサーで、これを使うことで譜表の間隔を強制的に狭めることができます。Automatic Placementの影響を受けずに譜表の間隔を固定したい場合や狭めたい時に使うといいでしょう。これはパレットの「区切りとスペーサー」のところにあります。
Don't break
新しい区切りのツールで、これは隣り合う2小節を強制的に同じ段に配置させることが出来ます。但し私にとってはこの機能の必要性を殆ど感じていません。段区切り(System break)を使って段末の小節を指定していけば、恐らくこの機能を使う場面は無いような気がします。(MuseScore3.1時点で、この区切りは廃止されていました)
符幹の長さの項目がインスペクタに導入
MuseScore2では符幹の長さはインスペクタに項目がありませんでした。MuseScore2では符幹の長さを個別に調節したときに、インスペクタに項目が無いためデフォルトの長さが分からなくなってしまうこともあります。私はMuseScore2で符幹を弄った時は、非表示のテキストでどのぐらい弄ったかを譜面上にメモっていましたが、MuseScore3ではインスペクタに項目があるため、その必要は無くなりました。
連符の括弧の編集
MuseScore2では連符の括弧の線の太さやフックの長さを設定することが出来ませんでしたが、MuseScore3ではそれが可能になりました。スタイルの編集のところ設定項目があります。
MuseScoreのデフォルトの設定ではフックが比較的長いので、連符の括弧が結構なスペースを取ってしまいました。これが設定できるようになったので、よりすっきりした括弧が書けるようになりました。
System Divider
幅の広い破線の間隔が調整可能に
MuseScore2にあった幅広の破線が、Custom dashedに進化し、破線の線の長さや破線の間隔が調節できるようになりました。これによってより、オッターヴァの点線をよりそれらしい点線にすることが出来ます。
Bravuraのブレイズ括弧に対応
MuseScore2では、今までどの記譜フォントを選んでも、ブレイズ括弧は変わりませんでした。MuseScore3ではBravuraを選んだ場合にブレイズ括弧はBravura固有のものが使われるようになりました。
記号の追加
MuseScore3では「<>」のアクセントが追加されたり、新たな音部記号が追加されたりして、記号の収録数が増えました。