2019年2月18日月曜日

MuseScore3で上下高音部記号で開始する譜面の最初の音部記号を高音部+低音部記号の大譜表にする方法

 MuseScore3で、大譜表の楽譜で最初から上下が高音部記号で開始する譜面を作ろうとすると、強制的に上下が高音部記号になってしまいます。右図の右下のように、高音部+低音部記号で書き始め、拍子記号と1拍目の間に高音部記号を入れることがMuseScore3では出来なくなっています。※MuseScore3.0.2までのver.では不可能でしたが、3.0.3では改善されました(2019/02/28)。


青島広志(2009)『究極の楽典 ―最高の知識を得るために』全音楽譜出版社,p.23
 本来の大譜表は、上下高音部記号で始めるのは間違いで、原則高音部記号と低音部記号で書き始めなければいけません。
 しかし現在では、出版譜でも上下高音部記号で書き始めるということも多く、既にその方式が広く受け入れられています。従って今日ではどちらの方式で書いても構わないでしょう。

 MuseScore3で本来の方式の大譜表を書く場合、以下の方法で無理矢理実現させることが可能です。MuseScore3では1拍目に変更の音部記号を入れることが不可能ですが、1拍目で無ければ変更の音部記号は入れられます。つまり、MuseScoreの1拍目をダミーの拍とし、楽譜上の1拍目を2拍目から書いてしまえば、本来の大譜表を書くことが可能になります。
 まず最初の小節の「小節プロパティ」を開きます。小節上を右クリックして「小節のプロパティ」を開くことが出来ます。小節プロパティの「小節の長さ」の実際の値を、八分音符1つ分多い値にします。4/4拍子なら9/8拍子にすると良いでしょう。

 実際の長さを9/8にしたので、1拍目を八分休符にし、2~9拍目を4/4として使います。2拍目に高音部記号を入れると、最初の音部記号を書き換えないで上下を高音部記号とすることが出来ます。

 ここまでやったら先に楽譜の入力を済ませておいてください。

 1拍目の八分休符は存在しないものとして扱いたいので、インスペクタで非表示にしましょう。またこのままだと最初の音部記号と挿入した音部記号との間が空きすぎるので、八分休符の前の間隔をインスペクタで狭めましょう。

 ここで、間隔が十分に狭められない場合は、ダミーの拍をより小さな音価に変えてみてください。つまり4/4の楽譜を9/8にしたとき不十分であれば、17/16や33/32にしてみてください。


 このようにしてMuseScore3で本来の大譜表の保って書くことが出来ます。


 さてここまではMuseScore3で本来の大譜表を書く方法を書きましたが、MuseScore2ではどうでしょうか。実はMuseScore2の場合は、1拍目に音部記号をそのまま挿入することが可能です。

 え?MuseScore2の方が簡単じゃないかって?

 そうなんです。MuseScore2は上下高音部記号にするのも、上下高音部+低音部記号にして1拍目に高音部記号を入れる本来の記譜も、非常に簡単にできます。この部分において、MuseScore3はMuseScore2より退化してしまいました。残念!

追記(2019/02/28)
 MuseScore3.0.3では、MuseScore2と同様の方法でこの表記が書けるように改善されました。

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