楽譜浄書ソフトでのスラーは、殆どの浄書ソフトでは3次ベジェ曲線で表現されます。浄書ソフト以前のハンコ浄書や彫版浄書では、スラーは職人の手書きで書かれていました。ペジェ曲線のスラーでは従来の方式のスラーとは形状が大きく異なっていて、コンピュータ浄書の特有の要素です。今回は、浄書ソフトでの3次ベジェ曲線のスラーで、綺麗に描くために注意すべき点を記したいと思います。
必要なのはスラーの始まりと終わりだけである
楽譜上においてスラーは始点と終点の位置を明示することが最も重要であり、スラーの中間部分はあまり意味を持っていません。楽譜上ではスラーの中間部分は優先度の低い邪魔な部位だと言えます。
スラーの始点と終点は音符の近い位置に
スラーの始点と終点は音符に近い位置に維持するのが望ましいです。コンピュータ浄書の3次ベジェ曲線によるスラーの場合、スラーの形状に一定の制限があるので、実はこれが難しいのですが……
コンパクトにまとめる
全ての記号は五線から離れすぎてはいけません。演奏者が見るべき楽譜の範囲は、出来るだけコンパクトであることが望ましいです。スラーも全体が不必要に膨らみすぎているようなものは好ましくありません(個人差はあります)。
スラーの真ん中が一番太い
スラーは先端が細く中央が太い形状になっています。浄書ソフトで書かれるスラーは、形状によってはスラーの最も太い部分が左右に偏ってしまうことがあります。基本的には太い部分が左右に寄っているスラーは美しくありません。MuseScoreのスラーでは、スラーの弧の中央部付近の制御点(右図の赤丸で囲った制御点)が、スラーの中央にあるようにすれば、基本的には綺麗にスラーが書けます。
さて、伝統的な手作業によるハンコ浄書や彫版浄書のスラー、SCORE(英語wikipedia)のスラーやDoricoの平坦スラー等は、ベジェ曲線では無いので、スラーの膨らむ部分が中央に無くても実は美しく書けます。これらのスラーは3次ベジェ曲線よりも、崩れた形状のスラーが綺麗に見えやすいですが、左右対称の形から可能な限り大きく崩さないのが大事であることは、3次ベジェ曲線でも手書きや平坦スラーでも同じです。
扁平になりすぎない
コンピュータ浄書の3次ベジェ曲線スラーは、扁平にし過ぎるとあまり綺麗ではありません。ある程度の膨らみは、3次ベジェ曲線のスラーには必要になってきます。
浄書ソフトでスラーを書く時には、3次ベジェ曲線であることで、どうしてもスラーの形状に制約があります。これらのことを全て守ってスラーを描くのは難しいので、「スラーの最も太い部分を中央に置くこと」を取り敢えず意識してください。左図のようにスラーの弧側中央の制御点が、中央部にあることを守っていれば、大抵の形のスラーはそこそこ綺麗にできるはずです。
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