スペーシングの基本
一つ前の記事でも言及しましたが、楽譜浄書では音価と実際の楽譜上のスペースは比例しません。すなわち、ある音符に対して2倍の長さの音符は、2倍の間隔を取るわけではなく、それより短い間隔を取るのが一般的です。
上図のように、音符の長さに比例したスペーシングは、小節幅が広くなってしまい、1段に入る小節数に限界があります。上図の「通常のスペーシング」は、2倍の長さの音符に対し1.5倍程度の間隔を取っています。2倍の長さの音符は2倍のスペースを取らなくても、少し間隔が広いだけでも、2倍の長さの音符だと認識させるのに十分です。
逆説的に言えば、音符の長さに比例したスペーシングであれば、小節幅は常に均等になります。
比例幅の音符スペーシングの方法
音符の長さに比例したスペーシングを実現するためには、その段の中の最小音価の要素と同じ長さの休符で、段内全ての小節を満たすことで実現することができます。
この譜例では16分音符が楽譜の中で一番短いので、使っていない声部で、全ての小節を非表示の16分休符で満たします。次に全ての休符を選択して、インスペクタの「割振り」の「前の間隔/後の間隔」をマイナス値にします。前後-1.00sp程度が良いでしょう。最後にパレットにある「区切りとスペーサー」の「譜表の折り返し」を4小節毎に挿入すると、一段にほぼ均等な幅の小節を4つずつ配置できます。
比例幅の音符スペーシングの問題点
音符の長さに比例したスペーシングは、通常のスペーシングと比べると、一段に入る小節数が少なくなります。16分音符の小節を4小節1段に入れることは、五線幅7mmかつA4用紙ではまず不可能です。五線を小さくするしかありません。五線を小さくすると楽譜が小さくなるので見にくくなります。
小節幅が変動する通常のスペーシングは、楽譜を大きく保ち、自然に読みやすい楽譜にするために必要な技術です。