スラーとは
スラーはひとつのまとまったフレーズに対してレガートを与える記号で、フレーズの始点と終点を表すことに記号の役割があります。スラーは始点と終点を一つの曲線で結びますが、記号の役割は始点と終点を示すだけで十分なので、間の曲線は特に大事ではありません。しばしばスラーがあることで強弱記号や発想記号がより外側に配置されてしまいますが、スラーの有無で記号の配置の差が最小になることを目指しましょう。
スラーの形
スラーは膨らみを持つ曲線なので、扁平なスラーよりも適度に膨らみを持つスラーの方が綺麗に見えます。MuseScoreのスラーは形を弄らなければ左右対称の綺麗なスラーになっています。記号の接触を回避する時など、スラーを調整する場合は、スラーの膨らみが左右に偏ってはいけません。右下図のように、膨らみがスラーの中央にあるのと、左側にあるのを比べると、膨らみは真ん中にある方が良いことがわかるでしょう。MuseScoreのスラーを編集する時に、右図のように動かせる□が6つあります。赤丸で囲んだ□は出来るだけ水平位置がスラーの中央上にあるようにすると、形の整ったスラーになります。
スラーの上下
スラーを五線の上に配置するか、下に配置するかは音符の符尾の上下によってきまります。基本的には音符の符頭側にスラーがつきます。符尾の上下の方向が両方ある場合は、殆どの場合で上側にスラーがつきます。上昇音型の最後の音符のみ、符尾が下向きの場合は、音型にそった下側のスラーの方が良い場合があります。
複数の小節を跨ぐ程の長いフレーズに掛かるスラーは上向きに配置します。但し、2小節程度のフレーズであれば、符尾の向きでスラーを配置しても構いません。3小節や4小節以上に渡るスラーの場合は、殆ど上側に配置します。
スラーの位置
スラーの膨らみと譜線が被ると譜線とスラーが一体となってスラーが見にくくなります。従ってスラーの膨らみは譜線と譜線の間におかれなければなりません。
スラーの始点・終点
スラーは音符の符頭に対し、水平位置では中央に始点及び終点を置きます。符尾側から始まる場合は、始点は符尾の右側から始めます。符尾側にスラーを書く場合に、始点及び終点が連桁で結ばれている場合は、符尾の直上に始点及び終点を置きます。
スラーの傾き
スラーの傾きは音型の上下行におおよそ沿うように傾けます。音型の傾きより若干緩めにしておくと良いでしょう。
段を跨ぐスラー
スラーが段を跨ぐ場合は、基本はどんな音型でも若干傾けます。音型によらず、跨ぐ前の部分は右上がりに、跨いだ後の部分は右下がりになるようにスラーを傾けます。但し、前の段から跨いでまた次の段にも跨ぐ場合は、平行のスラーになることはあります。
タイ
タイは形こそスラーと同じ種類の形ですが、意味合いはスラーと大きく異なります。従って全てのスラーとタイは演奏者が区別できるように書かなければなりません。
タイの形
タイはスラーと比べてあまり膨らみを持たせません。また同じ音と同じ音を結ぶため、ほぼ全てのタイは譜線と水平に配置します。異名同音をタイで結ぶ場合、タイが傾くこともあり得ますが、スラーとの混同を避けることを考慮すれば、異名同音でも水平のタイにした方が良いかもしれません。
タイの位置・付点音符につくタイ
タイもスラーと同様に膨らんでいる部分が譜線と接触していると視認性が悪くなります。なるべく五線の間に入れるようにしましょう。
MuseScoreでは付点とタイがデフォルトでは被ってしまうことがあります。付点とタイの接触の回避には、2つの流儀があります。一つは付点の右側からタイを配置する方法、もう一つは上下にタイをずらして接触を回避する方法があります。Hashiboso流では、上下にタイをずらして接触を回避します。
タイの始点・終点
段を跨ぐタイ
タイが段を跨ぐ場合は、スラーと異なり傾けません。タイは基本的に譜線と水平に置きます。異名同音のタイであっても、段を跨ぐ場合は譜線と水平に置きます。
はみ出る線記号
全ての線記号はMuseScoreでは段を跨ぐ時に、小節線からわずかにはみ出しています。スラー・タイにおいても同様です。したがって、全ての段を跨ぐ線記号は、段を跨ぐところを左矢印一回分短くしましょう。
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